ダ・ヴィンチ・コード

 美術館・暗号・シンボル・秘密組織……とくるだけでワクワクしてしまう私です。これは見ますとも!

 なぜか公開直前に各マスコミがこぞってネタバレに勤しんでいたという(特番まで作って!)、わけのわからない映画でしたねー(笑)。私は原作を読んでいません。ネタバレについても「ああそうなんだー」と軽く受け止めております。ですから、映画は「知的好奇心を刺激してくれるサスペンス映画」として普通に楽しめました。
 世界各地で賛否両論が起こっている映画ですが、まずは見てみることが大事なのでは?
 肝心のダ・ヴィンチはタイトルにまでなっているものの、映画での扱いはちょっと弱いように感じられました。導入部である、トム・ハンクス演じる教授が暗号を解いていくシーンもちょっと駆け足気味だったので、見ている方は消化不足。この辺りは、原作読めばわかるかな?

 私は映画における「最大の秘密」そのものよりも、その秘密のために大勢の人間が犠牲になってきたという部分がショックでした。子供の頃日曜学校に通っていた私は、キリスト教に割りといいイメージを抱いていました。ですが、歴史の勉強をするようになってからその血塗られた歴史に愕然とさせられたものです。
 現在、ほとんど無宗教の自分にとってはどうしても理解できないことです。そこまでして守りたいものは「信仰」ではなく、自分たちの「権威」ではないのかと疑いの目を向けてしまいます。

 そんな私が一番感情移入してしまったのは修道僧シラスかも。彼は暗殺者になるしか他に道はなかったのかなぁ。彼の行為は決して許されるものではありませんが、彼の心も体も見ていてとても痛々しかった。貴方は利用されているだけなんだよ、そんな風に自分や他の誰かを傷つける必要はないんだよと抱きしめてあげたくなってしまいました。

 細かい部分ですが、サー・リー氏と執事のやり取りが非常に面白い。ジャン・レノとか、おじ様キャラはいい味出してますね。顔のしみやしわが人生の年輪となった、いい顔をしていると思います。この映画のヒロインを演じたオドレイ・トトゥは可愛くて、それでいて知的で気品もある。個性的なキャラクターばかりなので、顔ぶれだけを見ていても飽きませんでした。

 そういう面で見ると、トム・ハンクスという人にはいい意味で個性がないように思われます。どんな映画のキャラクターにもすぐに染まってしまう。役者としては恵まれているのかも?!