スーパーサイズ・ミー

スーパーサイズ・ミースーパーサイズ・ミー
モーガン・スパーロック

レントラックジャパン 2005-07-08
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 2002年、兄の赴任先のドミニカに従弟夫婦ともども遊びに行き、その帰りにニューヨークに立ち寄りました。小腹が空いたので軽く何か食べようと、ふらりとピザショップに寄ったのですが――ピザのMサイズが、日本でのLサイズに相当するほどでかい。「フライドポテト」はただのポテトチップス。ポテトサラダは砂糖をまぶしてるのかと思うほど甘い。結局それらは「軽食」ではなくて、「夕食」になってしまいました。さすがアメリカ、食べ物がでかい! と感心したのをよく覚えています。

 思い出話からはじめてしまいましたが、とにかくあちらは人々の体も、食べ物もサイズがでかい! あんなに高カロリー高脂質のものを食べ続けて大丈夫なんだろうかとつらつら考えているうちに、同じことを考えていた人がとんでもない実験をしてしまいました。
1ヶ月間、朝昼晩3食ファーストフードを食べ続けるとどういうことになるか
 その実験の様子を綴ったドキュメンタリーが、この「スーパーサイズ・ミー」です。

 ただハンバーガーを食べている映像が続くだけだったら嫌だなぁと思っていたのですが、アメリカの食事情の詳細なレポートや、学校の食事の現状、人々への街頭インタビューなどがもりこまれて巧みに構成され、見ていて飽きないつくりになっています。

 お医者さんや栄養士さんのサポートを受けてこの実験はスタートするのですが、ただ太ったり体調に変化が訪れるだけではなく、体力や精神面にまで影響が出るという結果が興味深かったです。私もファーストフードは決して嫌いではありませんが、アメリカでは週3回以上も食べている人がいるとか。ファーストフードを食べ続けているうちに、中毒症状が出てしまうのですね。「やる気が出ない、倦怠感がある」と言いつつもハンバーガーとポテトを食べれば元気になる……まるで麻薬のようだ。うーん、怖い。

 学校のカフェテリアも惨憺たる状況で、子供たちが食べているのは食事ではなくて、ただのスナック類。それでも「食事指導はしている」と言い張る学校側。おいおい。日本の学校給食って、なんて素晴らしいんだろう。

 日がたつにつれて、体調が悪化していく実験者を見ていると「もういい……君は十分に戦った。もうやめるんだ!」と言いたくなります。ベジタリアンのガールフレンドは一生懸命実験終了後の「デトックス」プランを立てていたし。

 ほとんどの栄養士が「ファーストフードは体に良くない」と言っているのにもかかわらず、企業のみならず国全体が「健康」よりも「利益」を追求しているために、状況はなかなか改善されない。
 わが国でも、健康被害が出るとわかっているのにアスベストが使われ続けていた事実が重なってぞっとしました。




追記;この映画が上映されてほどなく、槍玉に挙げられたファーストフードチェーンは「スーパーサイズ」を廃止したそうです。この映画とは関係ない、と主張している模様ですがどうなんでしょ。