レッド・ドラゴン

 ネットレンタルで1週間以上前に届いていたのだけど、やっと見られました。あの「羊たちの沈黙」より前の時代、まだハニバル・レクター博士が精神科の医師として現役だった頃の話です。何故博士がカニバル(人食い)レクターと呼ばれるようになったか、ルーツとも言うべき事件がここで描かれています。

(以下、ネタばれ感想)
 この作品はサイコサスペンスとして有名ですけど、ホラーほど怖くありません。DVDを再生し始めた時の、メニュー画面で流れる音楽が怖いですけど、殺害シーンなどを含めて、状況を「暗示」させるように演出してるので、とても上品にまとめてるなという印象を受けました。

 グレアムとレクター博士の元「師弟」(?)の駆け引きとか、数々の証拠からグレアムが解決へのヒントにたどり着く過程など見ていてとても面白く、引き込まれます。

 この話では、レクター博士はあくまで脇役。ですが、博士を演じるアンソニー・ホプキンスの存在感は圧倒的で、見る人にかなりのインパクトを与えます。そのご本人は、日本でのプロモーション記者会見に際して、こんなメッセージを送ってくるお茶目サンです(笑)。(参照:こちら

「多分皆さんは、『レッド・ドラゴン2』とか『ハンニバル4』とか『羊たちの沈黙3』とかこのシリーズがずっと続くのかということに、興味がおありかもしれないが、もし『ハンニバル×ゴジラ』という対決が実現するなら出演しよう」

……好きだなぁ、アンソニー・ホプキンス(笑)。

 幼少時代に、祖母から精神的にも肉体的にも虐待を受け続けた殺人犯・ダラハイドと、盲目の女性リーバとの恋愛は少し切ない。恋を知ったダラハイドは、殺人犯としての自分と、「人間」としての自分のギャップに苦しみ、多重人格的様相を見せ始めます。ちょっとリーバがダラハイドに迫るシーンが軽薄だなーっていう印象はあるんですが。まぁ、おくてな相手には自分が積極的にならないといけないってことですかね。

 ダラハイド役のレイフ・ファインズがいい体つきで、タブロイド誌の記者の前で自らの裸体をさらすシーンは圧巻。レッド・ドラゴンの刺青もグロテスクだけど美しい。事件のことを忘れて「ほーっ」と見とれてしまうほど、引き締まった肉体美でした。……ミーハーでごめんなさい(笑)。

 最後が怪獣映画みたいで(死んだと思われたダラハイドが実は生きていて、グレアム一家を襲撃する)いただけないし、ダラハイドが殺人に至るまでの過程の描き方がちょっと不十分で「何故レッドドラゴンにこだわるのか」「何故一家を惨殺するのか」とクエスチョンマークが幾つか浮かんでしまうのですが、全体的には話のテンポも良く、「次はどうなるんだろう」と自分も一緒に推理しながら見る楽しみが得られます。

 ラストは「羊たちの沈黙」につながるので、「ここでクラリスジョディ・フォスター)がちらりとでも出てくれたらいいのに」と思ってしまいました。

 多分、映画でははしょられたエピソードもあるだろうから――買おうかなぁ、原作。