「メメント」
- 出版社/メーカー: 東芝デジタルフロンティア
- 発売日: 2006/06/23
- メディア: DVD
- 購入: 4人 クリック: 139回
- この商品を含むブログ (270件) を見る
妻の復讐を果たすべく、体には刺青、見たものをポラロイドカメラで撮影し、メモを取り、犯人を探すレナード。
さっき会ったばかりの人でも思い出せず、自分がどこで何をしてきたのかもメモなしでは分からない。周囲の人間の言う事もどこからどこまでが真実なのか。信じられるのは自分の「記録」のみ。果たして彼が迎える結末とは?
(以下、ネタバレ感想)
たいていの映画は「劇場で見たかった〜!」というものばかりなのですが、この作品に関しては「DVDでよかった!」と思いましたね。主人公の行動を、ラストからシーンごとに区切って逆回しで追っているので、映画が終わりに近付くにつれ、「え、あの人こんな事してたの?」と驚かされるばかり。一度見ただけではストーリーを理解できないかも。
もう誰を信じていいのやら。肝心の自分は記憶障害だし……。ラスト(もとい、事件の発端)ではぽかーんとしてしまいました。DVDでは、この物語を時系列に沿って編集しなおしたリバース・シークエンス版が見られます。正規版とリバース版を両方見て、やっと話が理解できたという、自分のおみその貧弱さよ(涙)。
だまされないぞ、と意気込んで見てはいたものの、巧みな編集によって観客の記憶は主人公と同じくかく乱させられてしまう。覚えているはずの物語の詳細をきちんと覚えていなくて、思わずがっくり――。試されているのは私達自身の記憶だったりして。「貴方達だって物事をきちんと記憶していないでしょ?」という監督のつぶやきが聞こえそうです。
謎の女・ナタリー役を「MATRIX」でトリニティーを演じていたキャリー=アン・モスが好演しています。逆回しバージョンをナタリーの視点で見てみると、また違った味わいが出てきますよ。レナードに付きまとうテディも……正義の味方とは言いがたいけど、案外いい奴だったのねと再認識。テディ役の人、「MATRIX」にも出ていたらしんだけど……何の役だったかよく覚えていません(笑)。トリニティーに横恋慕していた男かな? 違っていたらごめんなさい。
レナードが服を脱いで刺青を見るシーンが何ヶ所かあるんですが、結構いい体つきなんですよね。この俳優さん(ガイ・ピアース)、もともとボディビルをやっていたそうで、納得。記録のために体に刺青を入れるという、この映画の設定にぴったり。まぁ、脱ぐたびに現れるのが贅肉ぶよぶよのしまりのない体じゃ、見てるほうもがっくりくるわな(←そういう問題か?・笑)
救いがないというか、これでよかったのかとレナードの行く末が気になってしまうラスト。本当に信じられるものは一体何なのでしょうか。「こんなに記録しまくってるんだから自分はへまなんてしない」と突っ走るレナード。でも、彼は肝心の事を忘れてしまっているんですね。そう、「記録」という行為をするのは他ならぬ自分であり、自分の意思も関係していることを――。
私も時々「今、何をしようと思ったんだっけ?」とか「あれ、ガスの元栓締めたっけ?」と軽い記憶喪失になるんですが。レナードのことが他人事に思えない今日この頃です(笑)。