告白

 実は直前まで見るのをためらっていた映画でした。原作を読んで内容は知っていたので、わざわざお金を出してどよーんとした気分になるのもどうかなぁと思っていたので。しかし、一方であの延々と続く一人語りをどうやって映像化するんだろうという興味もありました。
 実際、当日はあまりにも人が多く、映画ごとにチケットを買うために行列に並び直すのもためらわれるくらいの人混みでしたので、思い切って勢いで買ってしまいました。
 で、その結果。見て良かった! 主演の松たか子の演技が素晴らしかった!(以下ネタバレあり)


 娘を生徒に殺された教師の、恐ろしい復讐。それは対象者の尊厳を奪い、人生すらめちゃくちゃにするものでした。最初に仕掛けた復讐には大きな穴があったのですが、それだけでも大きな効果があったと思います。彼女はああなることを予測していたのでしょうか?

 教師の語りが余りにも淡々としているため、時々彼女はロボットなんじゃないか? と思う事がありました。でも映画の方は涙を見せたりするので、少し人間らしさを感じられたのですけど。原作では教師は人望があるように描かれていますが、映画では軽く学級崩壊気味です。中盤のいじめシーンで、生徒の一人が学級委員の少女に「(いじめに加担しないなんて)先生が可哀想じゃないの?!」と詰め寄るんですけど、ちょっと違和感を感じました。お前らそんなに先生好きだったかよー。だったら黙って先生の話を聞けよー!(笑)

 復讐が決して正しい事とは思えないんですけど、あまりにも主犯の生徒の一人が憎々しい態度をとるので、ギャフンと言わせてやりたいと感じたのは事実です。彼がそうなったのにもまた原因があるんですけど……無関係な人間を巻き込むのはやっぱり許せないよなぁ。

 本の表紙もそうですが、白という色がとても印象的な映画でした。牛乳の白、教室の壁の白い色、屋上の白、家の白……。白という色がこんなにも暗い印象を与えるとは思ってもみませんでした。